朝6時起床、
朝8時に東京駅の新幹線で京都まで。疲れていたけどそんなことはどうでもよかった。
自分が店を始めた20〜21歳の頃のこと。
今の店ではない、ライブハウスとは言えない様な店の軒先で、掃き掃除をしていた時のことを未だに忘れない。
始めて地元の人に、始めて声をかけられた。
「看板にライブハウスって書いてあったんだけど、ここにあるの?」
そうして、その人との3年間が始まりました。
京都からレンタカーを借りて、約二時間、長谷川さんと近況の話を絶えず交わしていました。
ナビがちょっとずつ目的地に近づいてくると、車中の話とは裏腹に、なんだかソワソワした気持ちになっていた。
目的地について、どう話したらいいか、躊躇していた自分をリードする様に、長谷川さんが話してくれていたけど、一番淋しい気持ちを押し殺していたのは、かつて一緒に演奏していた長谷川さんだったはず。
遺影を拝見して、ご家族はなんでこの写真にしたのかなんて話もしてくれていました。その側には当時小学生だった息子さんも大人になっていた。時間の流れを本当に感じた。
帰りの車中では、思い出話に花が咲いた。
当時、千葉に移り住んで間も無かった長谷川さん、結果、転勤になってしまい、関われた期間は3年になってしまった藤本さん、店を始めたての自分、何か熱いものを持っていた3人が、その3年で作り上げたものがあったから、今日があったのだと、車中での会話は途切れることなく、お互い噛み締めていた様な気がした。
お見送りに行くには遅すぎたのかも知れなかったけど、ご家族の話や写真を見せてもらって、心の中のつっかかっていたものが取れた気がした。
「10年、店を続けたら本物だ。」
って言われたこと。未だに覚えてるし、忘れない。絶対忘れられるはずがない。
おかげさまで、今年で24周年を迎えられそうです。10年単位でずっと思い出す人なんだと、今でもなお、思っています。
初めて、ライブハウスとして地元の方に気付いてもらえたあの瞬間はずっと残ってる。
そんな些細なことでも、そこから始まった関係をこれからも大事にしていきたい。
当時と今は随分と変わった。支えるスタッフにも恵まれた。
だから、どうしても今日はちょっと無理してでも最期の挨拶に伺えてよかった。
今、当店に関わってくれる皆さんと、同じ様な関係を築くことは出来なかったとしても、些細な出来事から始まったきっかけで、この店は今も息をしていること、絶対に忘れない。
いっぱい言葉を交わし、いろんな局面で向き合い続けてくれた地元アーティストを、自分は絶対に忘れない。
支え続けてくれた人がいたから、今日の時間に巡り会えたから。
藤本さんと今、同じ年齢になりました。
これからも前を向いて、些細なきっかけを大切にし続けられる様な人間でいられる様に一生懸命に頑張ります。
今日という時間を与えてくれて本当にありがとう。
合掌。